ひとりあそび、ひかり
小池房枝
ひとの詩が読めなくなって久しいので
もうずっとひとり遊び
読んでいて今日は
ひかり
という言葉をひろった
ひのひかり
つちのひかり
みずのひかり
ひのひかり
つきのひかり
ほしはあかり
くものひかり
かぜのひかり
そらのひかり
そらのあの
雲とか風とかが行き来する透明な部分ではなくて
青いところは
ほんとはなんて呼ぶのか
空
それからひかる土
ひかるきのこの菌糸のベッド
海のひかり
ひかる生き物
ひかる海水
発光バクテリアの海、ミルキーシーという
土ではなく
大地が光ると聞いたのはレイアース
レイって
なんのかがやきなのか
かがやき
ひかりとかげがその意味を分けなかった頃の何か
名残りででもあるかのように
かがみ
かがやき
ひかりみ
ひかりやか
ひややか
ひかりは日借りかな
遡ればふぃかりとぴかり
ひたひたと
ひそやかに
ひを借りてひびを生きて来ているひとたち
読んでいて今日は
ひかり
という言葉をひろった
ひろって大事に
ひとことだけもって帰った