Welcome To The Lost Child Club
within
それは八〇年代に現れたバンドで、知ったのはオールナイトニッポンというAMラジオの深夜番組だった 当時十五歳だった僕はその音と詞と声に夢中になった CDプレイヤーも持っておらず、レコード店というものが縁遠い存在だった僕は、彼(ヴォーカル)の番組をカセットテープに録音し、その異常に音質の悪い音源を繰り返し聴いていた 彼が歌うのは愛と自由と夢とロックであり「愛を 愛を 」と叫ぶ彼の言葉で始まるその番組は二年続いた 彼は埋もれていた僕を掘り起こしてくれた 十代に芽生える青い朝の感受性というものがあるとするならば、僕にとってまさにそれはこの時に育まれた バブルという大きな破壊のもとで過ごした十代半ばの僕に「荒野を歩く」ことを教えてくれた
しかしそれはある種の病でもあった 夢中であるがゆえに全てを信じ、一種洗脳化された時代でもあった たしかに多くのものを得たが、それによって失ったものもなかったわけではない それが今になっても影を落としている部分もある でも冷静になれる年齢ではなかった 初めて覚えた熱狂だった
そして今、CD化された音源を聴き返してみると違った色彩と確かさを覚える もう彼らは九〇年代初頭に解散したが、彼らの音楽は、まだ僕に届いている
そんな彼らのバンド名は「ECHOES」
ファーストアルバムのタイトルは
Welcome To The Lost Child Club
それでは聴いてください 「レプリカの街から」