月と毛細血管
塔野夏子

左手の五本の指から
毛細血管が夜空へと伸びはじめ
またたく間に
満月に絡みつきました
そして葉のない蔓草のように
月の表面を覆い尽くし
月光に透かされて
赤く綺麗に見えました

まもなく
月はもうひとつの心臓になって
やわらかく脈うちはじめるでしょう




個人サイト「Tower117」掲載


自由詩 月と毛細血管 Copyright 塔野夏子 2009-11-01 12:21:50
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