冬の大三角に見守られて
瀬崎 虎彦

あたしには他人が何を考えて生きているか
本当のところ分かっていないけれど
たぶん全員が自分と同じように悲しんだり
うれしくて涙を流したりするんだろう

抱きしめられるように花ひらく
泣きながら笑うマグノリア
君が僕の一番大切なものになって
僕は毎日少しずつ強くなる

くちづけるたびに揺れ落ちる
こころはあまりにもたくさんの
涙をじっと隠していたものだから

沈黙する建物の屋根を眺めて
僕は屋上から静かに降りていく
冬の大三角に見守られて


自由詩 冬の大三角に見守られて Copyright 瀬崎 虎彦 2009-11-01 01:50:06
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