願い
伊織

この空は
川だって越えてつながっている
そう思って安心していた
安心したまま
あの夜や言いかけた言葉などを
曖昧にして しまいこんでいたんだ

  食事なら一緒に行くのに
  くだらない話は散々するのに
  メールだってたまにだけどするのに


逢いたい
テレパシーだけ川の向こう側に送っていた
たった一度発信ボタンを押せばいいのに
親指は切のボタンに行ってしまうんだ


好きです

本当の意味はとても重いから
絵文字にすらできずにいた

  このままがいい
  だって、もしもそれが
  あるいは、あわよくば


もう
わかっているのに
このまま
を選んだら
何もおこらない


いつかのオープンカフェに食事に誘おう
パンナコッタのおいしかったお店
少しぎこちなくなるんだろうな
だけど 決めたから


願うための資格が
何かひとつあるとするのなら
それはきっと
自分の手で
叶えにいくこと


自由詩 願い Copyright 伊織 2009-10-31 20:00:12
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