凍える意思
乱太郎

凍える意思

凍えている
薄暗い寒さに怯えて
いつしか低体温症になってしまった
もう
感じることさえ
ひたすら延びる氷柱

赤だとか黒だとか
色彩に言葉はあるというのか
芥子の花の匂いと
垢まみれの浮浪者の臭いの違いは
何を教えてくれるのだろう

差異化の向こう
宇宙はただ沈黙に広がっているのに




 孤独

一呼吸するたびに
何かを語りかけてくる空
胸の中で雲が流れて
形象を変化させて
ときには暴風雨を降らす
しかし
僕は怯えて隠れる
鍵を掛けた独房へと


 
カナリア

わたしはカナリア
言葉を持たない籠の中の鳥
啼いているのに
誰も振り向かない

わたしに聞こえてくるのは雑音
だって
そこにわたしはいないから

わたしはカナリア
弛んだ瞼と
禿げかけた羽根
もう飛び方も忘れてしまった



自由詩 凍える意思 Copyright 乱太郎 2009-10-31 13:22:53
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