空だけが僕と君をつなぐ
奈々

家を出て
知らない町にやって来た
秋の雲はうすっぺらなんだと
空気の軽さに
気が付いた
やっと
上を見ることが出来たんだ

さようなら

ありがとう

あなたと過ごした季節は
夢のようでいて
やっぱり
夢の途中で終わりを告げて
だからこそ
曖昧な記憶の断片に
執着してしまう
弱い自分が
壊れた人形のように
転がっていた
何処を見ても辛いだけの
そんな町から
やっと
逃げ出す事が出来たんだ

さようなら

ありがとう

僕は何度でも
君を思い返す
波のように
退いては寄せて
月のように
満ちては欠けて
季節のように
想いは巡る
何処にいても
想いは君のそばにいる
君の笑顔が何よりも
何よりも好きだったから

君が描いた僕の似顔絵は
いつも無精髭の顔
休みの日は髭を剃らないから
一緒にいられる時の
あなたの顔
一番好きな顔だと笑っていたね
今では僕の
一番の宝物

さようなら

ごめんね

もう二度と会えないんだ
遠すぎて
空でも翔ばなければ
君の近くに
行くことさえも出来ない

ごめんね


さようなら



ありがとう








自由詩 空だけが僕と君をつなぐ Copyright 奈々 2009-10-30 06:51:03
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