偶像崇拝
中原 那由多
いちばん近くて遠い存在として
見境のない誘惑をちゃんと咀嚼する
娯楽にカテゴライズされた挨拶たちと
唆すような評価に付きまとわれて
充実がもたらす疲労、あるいはその逆
座るべき椅子はいつも目の前に
腕組みから知る好みがあった
ポッケという可愛らしさ
幼さを助長しようとする仕草はむしろ
大人びていることを証明している
成り行きがでっち上げた人間像は
あまりに形が整っていて
綻びた糸を手繰り寄せようとして
邪魔するように耳鳴りが起こった時
すぐさま空中楼閣の扉を叩き
兄弟のように歓迎される
ここでくつろぎ微睡んでいるうち間も
人々はずっと営み続けているらしい
小さな声で話すことを
強制されてかえって良かった
されるがままの無法地帯に行き着いて
今更ながら納得したのは、そう
―――ふりだし!