偶像崇拝
中原 那由多

いちばん近くて遠い存在として
見境のない誘惑をちゃんと咀嚼する
娯楽にカテゴライズされた挨拶たちと
唆すような評価に付きまとわれて
充実がもたらす疲労、あるいはその逆

座るべき椅子はいつも目の前に


腕組みから知る好みがあった
ポッケという可愛らしさ
幼さを助長しようとする仕草はむしろ
大人びていることを証明している

成り行きがでっち上げた人間像は
あまりに形が整っていて


綻びた糸を手繰り寄せようとして
邪魔するように耳鳴りが起こった時
すぐさま空中楼閣の扉を叩き
兄弟のように歓迎される
ここでくつろぎ微睡んでいるうち間も
人々はずっと営み続けているらしい


小さな声で話すことを
強制されてかえって良かった
されるがままの無法地帯に行き着いて
今更ながら納得したのは、そう


―――ふりだし!




自由詩 偶像崇拝 Copyright 中原 那由多 2009-10-29 18:12:08
notebook Home 戻る