四行詩四態 <11>
nonya
「晴」
青空の尻尾が眉間を撫でると
開いた眉がくすぐったそうに泳いだ
昨日の薄皮が少しずつ剥がれて
今日の陽光にりるりるとはためいた
「耕」
耕すことに夢中になってしまう
つい種を蒔き忘れてしまう
振り返れば曲がりくねった轍で
意図しなかった雑草が肯くばかり
「雨」
下ろし立てのスーツの裏地を
執拗に濡らし続ける雨粒
引き払ったはずの空き部屋を
執拗にノックし続ける雨音
「読」
自分ですら脱出できない迷路のような文章
真ん中に「嫌」と書いてある出来の悪い笑顔
誰も傷つかないように程好く乳化した空気
この世には読まなくていいものが多すぎる