四行詩四態 <11>
nonya


「晴」


青空の尻尾が眉間を撫でると

開いた眉がくすぐったそうに泳いだ

昨日の薄皮が少しずつ剥がれて

今日の陽光にりるりるとはためいた




「耕」


耕すことに夢中になってしまう

つい種を蒔き忘れてしまう

振り返れば曲がりくねった轍で

意図しなかった雑草が肯くばかり




「雨」


下ろし立てのスーツの裏地を

執拗に濡らし続ける雨粒

引き払ったはずの空き部屋を

執拗にノックし続ける雨音




「読」


自分ですら脱出できない迷路のような文章

真ん中に「嫌」と書いてある出来の悪い笑顔

誰も傷つかないように程好く乳化した空気

この世には読まなくていいものが多すぎる



自由詩 四行詩四態 <11> Copyright nonya 2009-10-28 18:42:43
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