続・汚濁。
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世界の為に、全ての生き物の為に、

この身体がずたぼろにされようとも、
どんなに酷い目に遭おうとも、

戦ってゆきたいと、
護り抜いてゆきたいと、

そう思う気持ちは、嘘ではないけれど、



その為に何かを学んだり、
労働力を駆使しようとしない私は結局、

臆病で、卑怯で、傲慢で、
酷く怠惰な、口だけの負け犬なのだろう。




どんなに偉そうな事を言ったって、
どんなに教養のあるふりをしたって、


所詮、不確かな未来や、
認められず、受け入れられない事を恐れ、

少しの苦労や、無駄な努力をする勇気もないのだろう。




くだらない正義感と平等、平和への想いばかり募って。
自分は結局、何もしていないではないか。


政治家達を批判して、蔑んで、
何もかもを知ったような顔して。


けれど自分自身は、何も行動していない。

いつだって、口だけじゃないか。




自分自身に、嫌気が差す。




学ぶ事で、行動する事で、
自分の中の「何か」が壊れる事を恐れている。


その努力が水泡と帰して、
無駄足を踏む事を、怖れている。


何て、薄汚い人間なのだろう。




自分自身の事だというのに、吐き気がする。




こんなにくだらない人間が、
こんなに弱く、汚い人間が、


世界で有数の生活水準を有するこの国で、
のうのうと暮らしているなんて。


思想の自由が最も許されているこの国に、
生まれいずる事が出来たなんて。




そんな事、私は赦せない。




こんな自分が、
こんなにも恵まれた生活を享受しているなんて、

認められるはずも無い。





生きようと努力する事も知らない私。

死の恐怖を感じた事すらない私。




生死の境を彷徨う子供達を見て、

「何かをしてやりたい」と思いつつ、「何もしない」私。







嗚呼、なんて汚い。


なんて、醜い生き物。






言葉しか持たないくせに、

その『言葉』に「偽善」や押し付けがましい「正義感」を載せてしまう。






行動と意思が、


心の裏と表が、


一致しない。






なんて愚かで、薄汚い生き物なのだろう。











散文(批評随筆小説等) 続・汚濁。 Copyright aokage 2009-10-27 20:43:33
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