この空に底があるとして
それなら沈んでいるのは
きみが何万光年も前にさけんだ言葉のなきがら。
鈍色に光っているそれら
の
かえりたかったところ、
が
わたしの瞳の縁であったという仮定を夢にみた
この夜にまた、
ちいさく灯されているきみの泣いた香り
どんなにも
どんなにも
だきよせたってゆすったってうたったって
微睡みのなかで聞いた雨音ほど微かな、
その震えに気付いたって
きみが覚えるだろうかなしみを先に知ることはできず
ただただ
愛しさに浸らせた声、こえ 、こえ
ほんの少しでもたかいところ
置いていこうとしている
ゆるしてなんていえない、(いえっていうの?)
あんまりにもふかいとこに
この空の底があるとして
それならば掬い取ろうとしているのは
わたしがほんの一瞬てばなした憂鬱な温もりで
もう色も見えなくなった
もう意味も消えた
翳した左手がなにかをつかもうとしていたなら
流れる血はかなしみの蒼だったにちがいなくて
なんどでもよんでなんていえない
この空の底に
きみがいるとして