冬に会え
木立 悟






左腕だけが鋏に火に触れる



指五本喰らうべくして音喰らう



月尽きて地に声低く骨の笛



水滴をはらうが如く己れ斬る



塩を越え空の辻にて絶命す



策も無く死せる太陽ここに在り



泥炭は「おまえはほむら」繰り返す



くちばしを緑に預け火を兆す



廃船が廃洋の陽を堰き止める



病む肺に光のり言つもりゆく



この先はくちびるに会え冬に会え





















俳句 冬に会え Copyright 木立 悟 2009-10-26 19:16:14
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