地球
敬語
月は言う。
私に足を踏み入れた誰かさんじゃないけど、地球は青かったわ。そして、そこに加わる白や緑といった様々な色合い。それはまさに一つの絵画のよう。本当に本当に綺麗よ。
まっ、外見はだけどね。
と。
太陽は言う。
こちとら毎日、毎時間、毎分、毎秒、いつ何時もどこらかしこで爆発が起きてんだ。地球なんか気にしてられっかよ。そんな暇はねぇ。
まっ、逆にいつ何時も俺のことは気にしていてほしいけどな。
と。
水星は言う。
真横にあんな糞暑苦しいやつがいるというのに、そんなものを気にしているとお思いですか。馬鹿馬鹿しい。
まっ、横のやつが燃え尽きてくれたら、気に掛けてあげますとも。
と。
金星は言う。
わたしってぇ、地球ちゃんとよく似ているって言われるんだよねぇ。わたしたちってぇ、スタイル良いじゃん。それにぃ、二人とも美しいしねぇ。
まっ、姉妹なのか兄弟なのかは秘密だけどぉ。
と。
火星は言う。
地球は隣にいるだけだ。特に何もない。話したこともないしな。だから、何も知らない。
まっ、あいつは俺のことをへんてこな機械で探っているけどな。
と。
木星は言う。
ケラケラケラ。ケラケラケラ。ケラ。地球?ちっちゃいやつじゃん。ケラケラケラ。ケラケラケラケラ。
まっ、やっぱりちっちゃいじゃん。ケラケラケラケラケラ。
と。
土星は言う。
わたくしを見なさい。この美しい姿を。特にこの麗しい環。ただの輪じゃないわよ、環よ。全くこの環の美しさ、美学を理解できないものなどに興味はないわ。さっさと帰りなさい。
まっ、とりあえず環を付けてから質問に来ることね。
と。
天王星は言う。
あの……その………………あの………………あっ……………………………………………………………遠い。
まっ、…………あの……その(以下同文)。
と。
海王星は言う。
儂が地球のことをどうこう言うよりもまず、そやつは儂のことを知っておるのかね。えっ?儂は惑星の中でも稀な存在でだな。数々の伝説を(以下省略)。
まっ、どうしてもと言うなら語ってやらぬこともないがな。
と。
冥王星は言う。
準惑星である僕が惑星である地球様に何か言える訳がないです。単なる準惑星の僕が。全くもって、恐れ多い。って言う訳ないだろ!バカヤローが!!惑星から外されて、僕がどれだけ悔しい思いをしたかわかるか。ゴラァ。シバき殺……あっ……コホン。
まっ、まだ再び惑星の仲間入りすることは諦めていませんから。そのことはお忘れなく。
と。