でかけた先々でうたをうたう
フユナ

どこかでいっていた

これは歩行ではなく、舞踏

おそらくワルツではなくてポーレチケ

農作業の脇にあるビニールハウスの片隅の

犬に養われている小菊

下り坂の途中で干からびていくミミズ

さよーならーと声をあげたこども

これは歩行ではなく、

前へは進まなくてもきれいなだけの断片

足に塗った金色

戸惑うけれど持ち続けることばたち

バスを通り過ぎたら、そこには乗客たちのうたが落ちていた


(前進、すれどもおどろう ポーレチケ)


この世界では

もう新しいものなどないかもしれない

あるかもしれない

けれど

あなたの声が少し違った

あさってに投げたボールがまだ投げられ続けているのがわかった

息がきこえた なにかの

おそらく

おどるだれかの

足をとめて とめて 少しだけ、とめて とめて


(前進、しかるべきのち、ポーレチケ)







どこかでいっていた

これは歩行ではなく、舞踏

おそらくワルツではなくてポーレチケ

農作業の脇にあるビニールハウスの片隅の

犬に養われている小菊

下り坂の途中で干からびていくミミズ

さよーならーと声をあげたこども

笑い声

これは歩行ではなく、

前へは進まなくてもきれいなだけの断片

止まった足でそれでもうたをうたう

ポーレチケのうたを

いままでうごかした足を、とめて

でかけた先々で、うたをうたう












自由詩 でかけた先々でうたをうたう Copyright フユナ 2009-10-26 00:08:38
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