後悔
たもつ

 
 
洗濯機に釣り糸を垂れる
魚が釣れる
うろこが晴れの光に反射してまぶしい
釣り糸を垂れる度に
次々と魚が釣れる
面白いように魚は釣れるけれど
魚は面白くなさそうにこちらを見るばかり
洗濯機を覗き込んでみる
誰かの目の奥のように
真っ暗で
しいんと静まりかえっている
もしかしたら
取り返しのつかないことをしてしまったのではないか
と、突然恐くなり
あわてて洗濯機の蓋を閉める
再び洗濯が始まる
タイマーの残りはあと二十三分
二十三分後に
取り返しのつかないことをしてしまった
と、後悔している自分の姿を想像してみる
 
 


自由詩 後悔 Copyright たもつ 2009-10-25 21:57:41
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