夕暮れ
nonya


剥き出しになった電線に
切り刻まれた夕日から
滲み出すオレンジ色の血潮

一夜にして枝葉を落とされ
無念の拳を空へ突き上げる
街路樹の黒い影

夢見るように
朽ち果てていくことさえ
許されずに

いきなり
季節を寸断されてしまった
殉教者たち

不条理な胸やけが
ささくれた胃壁を
思う存分逆なでする

行き場を失った怒りが
はけ口を求めて
小さな傷口に殺到する

本当は何に
苛立っているのか
それすら分からずに

自転車のペダルを
力任せにこぎ続ける
行く手に

高層ビルは
ふざけたパステル色に
上気して

頬をなで切る風が
決して生易しくない
夕暮れ



自由詩 夕暮れ Copyright nonya 2009-10-25 18:03:00
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