夕暮れ
nonya
剥き出しになった電線に
切り刻まれた夕日から
滲み出すオレンジ色の血潮
一夜にして枝葉を落とされ
無念の拳を空へ突き上げる
街路樹の黒い影
夢見るように
朽ち果てていくことさえ
許されずに
いきなり
季節を寸断されてしまった
殉教者たち
不条理な胸やけが
ささくれた胃壁を
思う存分逆なでする
行き場を失った怒りが
はけ口を求めて
小さな傷口に殺到する
本当は何に
苛立っているのか
それすら分からずに
自転車のペダルを
力任せにこぎ続ける
行く手に
高層ビルは
ふざけたパステル色に
上気して
頬をなで切る風が
決して生易しくない
夕暮れ