情歌(ジョーカー)ー中二階の六畳間ー
……とある蛙

ふと君と出会ったので
なにを思ったのか
結婚する気になってしまい
程なくして言葉に出してしまい

ふと言葉に出してしまったため
なにを思ったのか
結婚することが現実的に思え
程なくして親に挨拶に行き

ふと挨拶に行ってしまったので
なにを思ったのか
結婚することが現実の予定になってしまい
程なくして仲人をお偉いさんに頼んだのだ.


ふと仲人をお願いしたため
何を思ったのか
結婚することが本当の本当になってしまい
程なくして暦を買い込んだ

ふと君を見ると
少し困ったような顔をしていたのだが
何を思ったのか
結婚すれば幸せになるようなウソを言ってしまい
程なくして結婚してしまった

ふと君を見ると
もっと困ったような顔をしていたのだが
何を思ったのか
子供が出来てしまったので
程なくして困った顔をしなくなった



ふと君が煩わしくなってしまい
何を思ったのか
家に帰るのが辛くなり
毎日飲んだくれていた。

ふと自分を振り返るのが怖くなり
何を思ったのか
ますます家に帰るのが辛くなり
程なくして君は離婚すると言い出したのだ。

ふと離婚の話し合いを始めてしまい
何を思ったのか
だんだん胸が熱くなり
程なくして君を見ながら後悔するのだ

ふと君の横顔を見ていると
何を思ったのか
君が愛しくなり
程なくして謝り続ける自分なのだ

ふと僕と会ってから
何を思ったか
君は一緒に居続けてくれて
程なくしてきっと君は僕のこと、呆れていたのだ。

ふと一人になって
ふと君のことを思っていたら
何を思ったのか
あふれ出た涙が止まらなくなり
また、あふれ出た涙が止まらなくなった。



自由詩 情歌(ジョーカー)ー中二階の六畳間ー Copyright ……とある蛙 2009-10-25 10:03:25
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