悲しみの海のかいな
小池房枝

まれびとのように
悲しみが訪れるものならば
まれびとのように出迎えて
また送り出すこともできように

けれども海ででもあるかのように
満ちたりひいたりするものなので
月を数えながら今日は小潮と
風を読みながら今日は小凪と

静かな昼には遊べるし
静かな波とは語り合う
誰かが落ちてびしょぬれだったら
タオルとお風呂とお茶はあるけど

大波がきたらどこへ逃げよう
津波がきたらどうしよう
遠浅の海は傍らにあって
いつでもひたひた寄せてくる


自由詩 悲しみの海のかいな Copyright 小池房枝 2009-10-24 09:57:38
notebook Home 戻る  過去 未来