紅
nonya
君の唇の くれない が
僕の内側を伝い落ちると
日常が育んだなけなしの植物群は
夢見るように朽ちていった
君の爪の くれない が
僕の外側を掻きむしると
日常に着せたつきなみな制服は
蕩けるように綻びていった
君の嘘が焦がした空の余白に
戯言のひとつも書かせて くれない
僕の胸に停滞する くれない
君の吐息が染めた朝の裾野に
縋りつくことも許して くれない
僕の背中に沈殿する くれない
自由詩
紅
Copyright
nonya
2009-10-24 09:38:20