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あすくれかおす
意味もなく汚れた気分になった午後、
よる辺の水をすくう人、そのやわらかい中身をのぞいた人、
深く閉ざしてみるといい、確かではない文字のかたちは、
かたくておもい持ち物すべては、知らない世界の失くしものだとおもってもいい。
*
心に留めておきたいことがありますか。
その心は、どこにありますか。
夜と朝とでは、どちらの果てなら見えそうですか。
ゆるゆると泣いて。這いつくばりながら口笛を吹いて。
結び目はもう、小さくなってしまった。
平積みにするほど、話したいことがありました。
その心は、いまもありますか。
*
色彩をじゅんばんに、空気に渡していく。
アルストロメリア。
マスタード。
ミュゼット。
いつか指先は見つけます。選ぶべきものを。
最後の、記憶の、断片を。
ルービック・キューブの群れが、砂地の寝床に帰ります。
平面は完成。立面も完成。
不揃いでは、何もかも暮れないのです。
そのことを知らないとでも。どうとでも。
なんとでもできるのでしょう。
可能性は、未完成なので。
*
続きがあるのです。
子どもたちはまだ、知らないのでしょう。
いつでも、誰しもが地続きではないのでしょう、
おわりの歯磨きをする列車、ぼくらを軽くする滑車、
いつか、だれかと、求めあったぞと、新聞がモノローグを話す、
みんな、もう滅びたのでしょうか?
いつだって騒ぎ合っていました。
いつだって華やかにみえました。
ねえねえと、みんながそう呼ぶから、
いつでも、いつまででも/返事して、返事して、返事して、返事をかえしていました。
誰しもが地続きではなかったのでしょう。
彼方の手前でじっとしている。
世界をなんにも知りません。
時間の詠み人も知りません。
わたしは。
ここはどこにありますか。
わたしは。
はあどこあになりすますか。
もう断片になっている。
よる辺の水をすくう人、そのやわらかさを知った人、
澄んだ水のなかにある澄んだ泡、
深く閉じたまま息を吸う人。
意味もなく光る子ども。
知らない世界という名の名無し。
まだ知らない。
まだ知らないことには、続きがある。