カレーライス
奈々

母の姉が倒れたとかで
今日は父と二人だけだった

いつもと変わらず
朝に放浪の為に家を出る
私にとってこの家は
苦しいだけの場所なのだ
だからと言って
外に安らげる所もなく
時間だけが遅く流れていく

夕方家に戻る
カレーの匂いがした
初めてだった
父が私に何かを作ってくれた事が
父と二人だけで食事をした事が
おいしかった
久しぶりにそう思った
毎日が砂の様な食事だった
いつも無口な父が
暖かな言葉をカレーにした
そんな味だった


多分
最初で最後
私は今月中に家を出る
もう
戻らない


ごめん
お父さん




自由詩 カレーライス Copyright 奈々 2009-10-20 23:24:04
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