世界のずれる音
朧月

見たくないという私の叫びが

みたくないよぅ  

と小さく響き

カーン
カーン

となにかの外れる音がした
それは世界のずれる音
背負った苦しみはきっともう
なくなっているよと気休めを

言おうと言うまいと見せまいと

終るときを告げている
ヒトの汚れた姿は
なにをもってしても清らかにはならない
踏んだ足の下にいるヒトを
見向きもせずに歩いてく
手を差し伸べて優しい笑顔を
作ったはずなのにこの目は
光など宿してはいない
己のことしか見ぬ
そんな手は汚れて
あなたの手についてる
黒い染みはいつついたの
こすっても落ちないそれは
生きるごとに増えてく

黒の手は何をつかめるの






自由詩 世界のずれる音 Copyright 朧月 2009-10-19 10:40:12
notebook Home