世界のずれる音
朧月
見たくないという私の叫びが
みたくないよぅ
と小さく響き
カーン
カーン
となにかの外れる音がした
それは世界のずれる音
背負った苦しみはきっともう
なくなっているよと気休めを
言おうと言うまいと見せまいと
終るときを告げている
ヒトの汚れた姿は
なにをもってしても清らかにはならない
踏んだ足の下にいるヒトを
見向きもせずに歩いてく
手を差し伸べて優しい笑顔を
作ったはずなのにこの目は
光など宿してはいない
己のことしか見ぬ
そんな手は汚れて
あなたの手についてる
黒い染みはいつついたの
こすっても落ちないそれは
生きるごとに増えてく
黒の手は何をつかめるの