Stabat Mater
AB(なかほど)

  

そちらは晴れていますか
あの青年も一緒にいるのですか
計り知れない憎しみはもちろんあるのですが
それでも
彼にもわずかの救いがあれと思う誰かがいます

そちらは晴れていますか
君のお母さんにも
この頃ようやく晴れ間の見える日があるようです

ほんとはあの日も
抜けるような青い空でした
いくつもの瓦礫のこすれる音
ときおり破裂する音
砂の巻き上がる音
叫ぶ声
抑えても叫んでしまう声
青空に吸い込まれていました

三日前に
君よりも幼い子を残して
一人の母が死にました
かつて彼女の恋人がそうしたように
でも
年老いた彼女の母親もまた
叫んでいます
抱きしめるべきは我が子なのだと
その孫を抱きしめながら





祈りを忘れてしまう夜がいくつもあります
誰かが亡くなったことを耳にしない日はないというのに

ハンバーガーを食べながら
我が子にその意味を問われました




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未詩・独白 Stabat Mater Copyright AB(なかほど) 2004-09-15 11:41:58
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