茶わん蒸しの唄
吉岡ペペロ

出張さきの宴席で地元の方々が
茶わん蒸しの唄をやってくれた

いつもそれを覚えようとするのだが
芋焼酎がぬけた朝には忘れてしまっている
だからその晩はDVDをおくれよと頼んでおいた

翌日の朝の挨拶で
彼らは凛々しい顔をしていた
DVDの約束のことは出て来なかった
ただ今日もよろしくといった感じだった

茶わん蒸しの唄を覚えることは
たぶんこれからも叶わないだろう
あまく柔らかな
芋焼酎の香が幻のようによみがえった


自由詩 茶わん蒸しの唄 Copyright 吉岡ペペロ 2009-10-16 14:58:51
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