レーゼシ
あすくれかおす





のトーン、
乱反射、
わたしたち、
この暗闇にも突き当たりがあります
正しさが、正しくを、固める
たびにお、もう
粉々に、間違えた時間の
欠片をひらおうか。



嬉しい。
光る地面で。
君らの、花火らの、落下傘を待ってる。

(兎たちによる
兎たちのための月。)

その、
ほんとうの話をいつもしたかった。
まぶた、の震えが気になってまた、
嘘になった。
息をのむ音が、
磨りガラスに響いた。



両手の指でつまんで
ふたつの卵をくるくる回して

生だね。
そう、斜めに声を落とす。
視線を卵からあげない君が
もう、傍では生きていない気がする。

生かな。
スロウテンポで、ストローを吸う。
世界の、兎の、視線の、
割り算ができない。
生の。
在るかどうかのために
歯茎をたしかめる。




木こりは大して勇敢ではなかったが、
よく働き、たくさんの木を切った。
よく切れる、魚の腹みたいな色の刃が彼を助けた。
けれどもその切れ味を執行するとき
ふるえる彼の右手を握るのは
いつでも素朴な取っ手の役目だった。



なんどガムを噛んだら
宇宙のことが分かるだろうか。
うす桃色になるまで
長い時間を噛んでいた。
やがてはあごが疲れて
あごが疲れるにつれて無口になり
ぼくたちは空想を喋らなくなり
だらだらしてしまい
今でもたまにはガムを噛むけれど
宇宙のことは別の誰かが考えている。



風が大きい。
格子窓がわななく。
読み物をやめて
部屋の明かりの真似をする。

「ワタシは、
ワタシタチを、
おびただしく、おびただたびたびしく、
電気が流れます。
何にも見ませんし。
何にも聞きませんし。
揺れます。揺れまするまれす」

白いまっ白い白い、
カップに
コーヒーの跡が真っ直ぐについてる。



ぼくたちは長いプロセスだ。
鼓動のあいまに、つづく裏打ちだ。
(ねーねー
瞬間を模して、流体を形容する。
あついつめたい、ほしい、
いま、いま。
散じる。
あたしは、息は、まだ温かい。
(センセー、センセー
ほしいたのしい、ねむる
何かの匂いがしてる。
匂いが別の結び目になって
途切れてしまわないようにと
ぼくたちは
ゆっくりと話しつづけた。






自由詩 レーゼシ Copyright あすくれかおす 2009-10-12 06:33:31
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