レーゼシ
あすくれかおす
ら
のトーン、
乱反射、
わたしたち、
この暗闇にも突き当たりがあります
正しさが、正しくを、固める
たびにお、もう
粉々に、間違えた時間の
欠片をひらおうか。
*
嬉しい。
光る地面で。
君らの、花火らの、落下傘を待ってる。
(兎たちによる
兎たちのための月。)
その、
ほんとうの話をいつもしたかった。
まぶた、の震えが気になってまた、
嘘になった。
息をのむ音が、
磨りガラスに響いた。
*
両手の指でつまんで
ふたつの卵をくるくる回して
生だね。
そう、斜めに声を落とす。
視線を卵からあげない君が
もう、傍では生きていない気がする。
生かな。
スロウテンポで、ストローを吸う。
世界の、兎の、視線の、
割り算ができない。
生の。
在るかどうかのために
歯茎をたしかめる。
*
木こりは大して勇敢ではなかったが、
よく働き、たくさんの木を切った。
よく切れる、魚の腹みたいな色の刃が彼を助けた。
けれどもその切れ味を執行するとき
ふるえる彼の右手を握るのは
いつでも素朴な取っ手の役目だった。
*
なんどガムを噛んだら
宇宙のことが分かるだろうか。
うす桃色になるまで
長い時間を噛んでいた。
やがてはあごが疲れて
あごが疲れるにつれて無口になり
ぼくたちは空想を喋らなくなり
だらだらしてしまい
今でもたまにはガムを噛むけれど
宇宙のことは別の誰かが考えている。
*
風が大きい。
格子窓がわななく。
読み物をやめて
部屋の明かりの真似をする。
「ワタシは、
ワタシタチを、
おびただしく、おびただたびたびしく、
電気が流れます。
何にも見ませんし。
何にも聞きませんし。
揺れます。揺れまするまれす」
白いまっ白い白い、
カップに
コーヒーの跡が真っ直ぐについてる。
*
ぼくたちは長いプロセスだ。
鼓動のあいまに、つづく裏打ちだ。
(ねーねー
瞬間を模して、流体を形容する。
あついつめたい、ほしい、
いま、いま。
散じる。
あたしは、息は、まだ温かい。
(センセー、センセー
ほしいたのしい、ねむる
何かの匂いがしてる。
匂いが別の結び目になって
途切れてしまわないようにと
ぼくたちは
ゆっくりと話しつづけた。