一本の道
西天 龍

夜明け前、一本の道を歩いている
ほの暗い中、歩みに合わせて
さまざまなものが流れ来て
そして去っていく

どうしても分からなかった
いさかいの理由
あの時、君が呑みこんだ言葉
失くした手紙

懐かしい人たちがいる
「ごめん」と言えなかった君
会ったことのない祖母
あの時と変わらない親父

朝焼けに向う一本の道に
今までの自分が溶け込んでいく
気がつけば、全ての大切な人たちと共に
大きな道に綴り込まれていく

もう大丈夫
もうすぐ夜が明ける
そしてまた、別の誰かが
この道を歩み来る


自由詩 一本の道 Copyright 西天 龍 2009-10-10 12:29:00
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