記憶の森
北星三天
白と黒の樫の木の時
過ぎ去った羽根を伸ばす木菟
折れ曲がった追憶
無口な星と人の間
単音の呼び声
ほう
ほうっ
どこまでも広がる記憶の絵
重なる葉は口に溢れ
森を描き夜深く埋まる
研ぎ澄まされた
それは
闇雲に心の眼を灯す
反射する音の滝が
光りに映ること無く
耳の奥の肌を撫でる
その奥の血の肌までも触れる
何処でも無く
何時でも無く
ここは何処でも無く
ここは何時でも無く
白と黒の記憶の縁取り
顔を無くした古い夜
木菟の胸の内にある息が
ゆっくりと
ゆっくりと
記憶の森の夜に溶けて
広がっていく