Blade Fish Bone
BOOKEND
教えてもらったメールアドレスに送ったらエラーで返って来てしまった。
これはきっと、彼女が書き間違えたダケである事を切に願っている。
オレは秋刀魚が好きだ。焼いときゃとりあえず秋刀魚は裏切らない。
やはりその日もいつも通り秋刀魚と酔鯨を注文し、いつも通りのバカ面をさらにバカっぽくかしげながら、
さっき観てきたJリーグの試合についてド素人意見を交わしていた。
奴は贔屓のチームが負けた為、やや不機嫌だ。ザマーミロである。
出てきた秋刀魚は少々焼きが過ぎていたけれど、まあ細かい事は気にしない。
大抵の居酒屋なんぞに多くを求めたって無駄なのだ。
大根オロシーに醤油を浴びせかければ準備はバンタンである。
ヤハリ立ち上がりの時間帯はキケンなのだな‥
などと言いながら頭のほうからツツいて行く。
ちょっと苦いハラワタにはここぞとばかりに大根オ・ロッシー(イタリア風)との組み合わせで食べて行く。
背骨もガジガジ齧りながら酔鯨をグビリ。ウマイ。
とまあ背骨もハラワタも食べてしまうオレなのですが(頭はヤツが食った)何だかんだ言ったってさ、
やっぱり尻尾のほうのが好きな訳ですよ。苦い部分は一番美味しい所を楽しむ為のスパイスみたいなモンですよ。
そうだね、オレたち苦い経験もしたもんな。
あん時は大根おろしに助けられたんだよね。
ああ、そしてやっとココまで辿り着いたんだ。この先は何の心配もいらないさ。
存分に楽しもうじゃないか!
と、その時である。
コチラお下げしまーす!と元気にバイト姉ちゃんがその秋刀魚のお皿をかっさらってってしまうではないか!
えぇっ!?
オレはこの世のものとは思えない悲痛な声を上げたね。
だのにスッタスタ去って行ってしまうバイト姉ちゃん。ヒドイ。
まだゆうに3分の1は残っていたではないか‥
ナ、ナゼなのだ‥
あまりの出来事に呼び止める事も出来ず、ただヒタスラ放心状態のオレ。
ヤツはさほどショックではなかったらしく、何だか火星がどうとかこうとかそんな話しをしていたような気がする。
しかし当然オレの耳には入ってこない。
そんなオレの姿を見てヤツは、コレハマズイ‥と思ったのか、もう出ようぜ、と提案してきた。
そうだな、もうこんなトコに用は無いな‥
そしてヤツは放心状態から立ち直る気配の無いオレを引き連れ、バカ話しと共に2軒目へと向かったのである。
以後の展開は差し控えたいと思います。
何しろワインで無駄に立ち直ってしまったので、最終的にはグズグズルズルでした。
教えてもらったメールアドレスに送ったらエラーで返って来てしまった。
これはきっと、彼女が書き間違えたダケである事を切に切に願っている。