秋▼
月乃助
秋、なのですね
久しぶりにみる陽の
海峡の水の色は、
遊び心を誘った紺碧から
秘密をとりもどし/もどらされた ―◆■□
群青色ににぶく一変していました。
夏を泳いだ娘の
瞳の色がうっすらと
大人の翳をますように、
コスモスの花の 整然さが
乱暴なケオスをやり過ごし
覆いつくしては、【then】
小さな秩序をきずきあげるように、
みまがうことなく
空を水平に区切った海は、
湛えられた水の果てしなさを
取り返していました。
海鳥が水の上を飛びさりながら
水底の魚のにおいを かいだりしています
光におどる波の
数知れぬ 乱舞の足々
その下によこたわる
愚鈍なほどに 清々とひろがる
海峡は、白く
風を子のように
はらんでいます。
枯
れ
葉に
ひゅぅーうううううううううう ううううう ゝゝゝ
びゅぅぅぅぅぅぅぅ ぅぅううう
海風がいっそう いざなわれ
道を急ぎ足に過ぎていく
もうすこししたら、
それもまた
冬の長雨に
朽ち葉となるのを
つい わすれたように
今日ばかりは 季節がまっすぐに
―――――――――おとしてくれる▼
陽光を 体にうけとめることも
むずかしくないのですから、
冬がくる前に もうすこし
心をあたためることも
できるのかもしれません。