そのもの
瑠王

私達はそれぞれの製造番号を握り
はじかれる弾のように一列に並び
火力と素材を試されるべく
黒塗りの砲台へと歩一歩
天国と地獄は人間そのもの
私達は高層の屋上から
空が燃えるのを眺めている


鬼の顔した天使は夜の鏡に面して
優しさは何処へいったと嘆く
涙顔の悪魔は濁った川に映して
憎らしさは何処へいったと嘆く

彼等の煙突から憂鬱の黒い煙が立ち上り
この空を陰鬱にする
彼女等の涙が降り注ぎ
街は海に沈もうとしている

少年の勇気の中には
天国と地獄が平等に準備されている
少女の瞳の中には
天国と地獄が平等に潜んでいる

とある画家の一枚の絵の中には
天国と地獄が平等に描かれている

私達の共存する世界は人間そのもの

男は傘を差し出して
女はすすを拭うための
ハンカチを手渡すだろう

天使は悪魔のために星を狩りにゆき
悪魔は天使のために花冠を編むだろう

少年は少女の手をとって歩き
少女は少年をいつまでも許すだろう

私達の共存する世界
天国と地獄は人間そのもの

(私達の共存する世界 天国と地獄は人間そのもの)


自由詩 そのもの Copyright 瑠王 2009-10-08 01:45:51
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