Protest Song 
服部 剛

かけがえのない友が
生きる場を失い 
追い詰められてゆく 

無慈悲な社会の偶像に 
人波の渦の中で立ち尽くす僕は 
只、拳を握り締めている。 

君に電話するといつも 
受話器の向こう側で 
母親が息子を呼ぶ 
愛しい声が 
僕の鼓膜を、震わせるんだ・・・ 

友よ 
すべての慰めの言葉は塵となり 
約束の手紙さえ
世間の冷たい風に
吹き飛ばされてしまうから 
僕は今朝も君を思い出しながら 
無言の行列に交じり 
自らを燃える炎のひととして 
今日の現場に独り、直行するのです。 

詩人や文学者が夭折する時代は 
もはや、過ぎ去った・・・ 

静まり返った夜に耳を澄ませば 
遥かな宇宙そらの彼方から 
懐かしい人々が肩を並べて歌う 
歓喜のうたのコーラスが 
すべての哀しい夜を越えて 
聴こえて来るだろう 

大地に伏せてうずくまる、言葉よ 
炎のひとの姿となり 
暗闇の底から、立ち上がれ 








自由詩 Protest Song  Copyright 服部 剛 2009-10-07 23:04:41
notebook Home