未来への距離
百瀬朝子

迷子のきみはどこへ行く
手招きしている水辺の鳥が
晴れの舞を披露している
ぼくは明日へ帰れない

  目を閉じれば夢の中、(嘘)
  頭は枕の上 の ママ
  魂は離れているのかもしれない、けれど
  記憶は肉体を通して蓄積していく
  から、夢の国の出来事を
  ぼくは しら ない
  頭は枕の上 の ママ

    ねえ、お空に光って見えるあれは、なあに?
    お星さまよ
    お星、さま?
    そう
    それって、神さま?

無邪気さが好きならば
一生子どもでいればいい
ぼくは先へ行くけれど
あの白い階段を登るけれど

  ひとりぼっちはいやだ とか
  ずっと、ここにいたい とか
  ぼくに困るきみがかわいい とか
  理由はそこらじゅうに散らばっている
  ぼくらは たくさんの理由から
  大切な たったひとつ を
  選び出さなくちゃ いけない みたい

行ってしまう、すべては時の流れるがまま
ぼくらは 好きとか嫌いとか
捉われすぎているみたい
明日降る雨が ぼくの足元を濡らしても
水たまりを乾かす あさってがあるならば
ぼくらは 好きとか嫌いとか
洗い流して さっぱり
未来への距離を、ちぢめてゆける


自由詩 未来への距離 Copyright 百瀬朝子 2009-10-07 14:50:59
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