未来への距離
百瀬朝子
迷子のきみはどこへ行く
手招きしている水辺の鳥が
晴れの舞を披露している
ぼくは明日へ帰れない
目を閉じれば夢の中、(嘘)
頭は枕の上 の ママ
魂は離れているのかもしれない、けれど
記憶は肉体を通して蓄積していく
から、夢の国の出来事を
ぼくは しら ない
頭は枕の上 の ママ
ねえ、お空に光って見えるあれは、なあに?
お星さまよ
お星、さま?
そう
それって、神さま?
無邪気さが好きならば
一生子どもでいればいい
ぼくは先へ行くけれど
あの白い階段を登るけれど
ひとりぼっちはいやだ とか
ずっと、ここにいたい とか
ぼくに困るきみがかわいい とか
理由はそこらじゅうに散らばっている
ぼくらは たくさんの理由から
大切な たったひとつ を
選び出さなくちゃ いけない みたい
行ってしまう、すべては時の流れるがまま
ぼくらは 好きとか嫌いとか
捉われすぎているみたい
明日降る雨が ぼくの足元を濡らしても
水たまりを乾かす あさってがあるならば
ぼくらは 好きとか嫌いとか
洗い流して さっぱり
未来への距離を、ちぢめてゆける