古代魚のうろこ
月乃助



 こまかく

  こなごなに
くずされるのです 

 支払わなければならない 代償に
 大きく それをさしだせば、
 残ってやってくる 手にするコインの
 ざらつく 他人 のような

随分とながいあいだ
同じことばかり ばかみたいにくりかえし
答えはまだ ※※できないでいます 【SUBMIT】
それがゆえ わりきれない
小銭ばかりが 手元に
山のようになっているのです

 銀灰色や赤銅色に にぶくかがやく 
  それは、怜悧な悔悟の色

 もう少し 利巧になったら
 そうすれば、この世なんてかんたんに
 魚のように泳いでいける
 笑って言う****がこわかった 【LOVER】
 だから 正視できずに
 かたまっていました 

にげるように
化石になったあたしは、とうのむかしに
泳ぎはじめていたのです

 生まれてから
 どれほどの年月がたったのかしら
 確かに、何万年も前に孵化し
 その姿を変えずに生きてきたはず
 コーヒー・カップについた紅のいろだけが
 暗証番号さながら それを
 差し出してくるのです

無器用では いけませんか
必要もない小銭だらけの
巨きな魚は【¢】
ずっと それをうろこにまとい
時あるごとに
かたびらを着た古代魚のように
おもそうに 泳ぎ去ってきた
そして、これからも
ありえるのです
まだこの先を
生き抜くため 

― カチり カ チャリ 【♪♪】

カフェのテーブルに
  うろこのヒレから投げ出された
 チップは、ありあまる硬貨に
   それを知ってかすこし あざけり
  わらうように
   光をそこに 
あつめていた











自由詩 古代魚のうろこ Copyright 月乃助 2009-10-07 02:59:23
notebook Home 戻る