身 辺 雑 記 (殺戮された 花々の 碑)
るか

                    それだけは 
                    避けようと するのだ、
                    未開の人が 
                    蝕を おそれる
                    ように。
                    その存在を
                    感じただけで、
                    できるだけ はなれ、
                    あまつさえ 
                    殺してしまおうと
                    する
                    柔らかな掌を 振り上げて
                    できるだけ 
                    優美に
                    ころそう と
                    する、
                    それという
                    微塵の自覚も
                    ない ままで。


                    あるべきだった、
                    明日や
                    うつくしい希望の かずかずは
                    そんなふうにして
                    いくつも 息 たえて、
                    永劫の風に 
                    晒されて いった
                    投げかけられた 呪詛を
                    帷子にして
                    わずかに ただ
                    気のふれた 子供たちが
                    風の行方を 
                    追って行った が…
   

                    堆く、つみあげられた
                    この石に刻まれた
                    名が、問いかける
                    声を
                    聴いたことは ないか
                    文字は ころされた花の名で
                    歌うように
                    問うている
                     

                    孤立無援の
                    楽の音が 洩れる、
                    その花を 捜している。
                    つめたい雨ばかりに
                    打たれている
                    ような
                    

                    その場所は
                    未だ
                    憶いだせる 
                    か









自由詩 身 辺 雑 記 (殺戮された 花々の 碑) Copyright るか 2009-10-06 23:07:53
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