ある体験
笠原 ちひろ
イヤサれたいのかアヤサれたいのか
さっぱりわからないまま
それでも
ワタシの傷はワタシだけのものだ、
そう簡単にイヤサれてはたまらない
と
カタクナに身をカタクしてじっとしていた
わりかし長い時間
ずっとじっとしていたら
そうこうするのにすっかり飽きて
中途半端はまっぴらごめんだ
どうせなら
徹底的に、完膚なきまでイヤサれたい
と
ある日
ひかりにすべてをさらしてみた
…傷だと思っていた
…なにかあったら律儀に傷つかなくてはと思っていたよ?ワタシは
黒をのみこんだこころは重くじっとりしていて
抱えているだけで時間にさえもつかれてしまっていたもので
これっぽちもこころうごかしたくないと思っていたけれども
きんいろのシャワーはやさしくやさしく
つつみこむようにあくまでやさしく、
うぶ毛までひかりに撫であげられながら
ワタシはワタシが間違っていたことを
喜ぶ