ある体験
笠原 ちひろ

イヤサれたいのかアヤサれたいのか
さっぱりわからないまま


それでも

ワタシの傷はワタシだけのものだ、
そう簡単にイヤサれてはたまらない



カタクナに身をカタクしてじっとしていた


わりかし長い時間
ずっとじっとしていたら

そうこうするのにすっかり飽きて

中途半端はまっぴらごめんだ

どうせなら

徹底的に、完膚なきまでイヤサれたい



ある日
ひかりにすべてをさらしてみた




…傷だと思っていた

…なにかあったら律儀に傷つかなくてはと思っていたよ?ワタシは




黒をのみこんだこころは重くじっとりしていて

抱えているだけで時間にさえもつかれてしまっていたもので

これっぽちもこころうごかしたくないと思っていたけれども


きんいろのシャワーはやさしくやさしく

つつみこむようにあくまでやさしく、


うぶ毛までひかりに撫であげられながら

ワタシはワタシが間違っていたことを




喜ぶ





自由詩 ある体験 Copyright 笠原 ちひろ 2009-10-06 22:40:17
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