すがるひと
恋月 ぴの

朝目覚めて口のなか乾いているのは
どうやら鼻の具合悪いかららしい
それとも流行の風邪でも引いてしまったのかな

人知れず鼾とかかいていたりして

人知れずってのはいかにも寂しいな
鼾うるさいぞ!って肘で突かれた記憶なんか無いってことは
幾年月もひとりで寝ているってことになるんだ

ああ。幾年月よ!
って
「うそつき」と空耳しそうだし
苦労を重ねるって意味合いぢゃわたしには無縁すぎて

秋の長雨ってあまりにも鬱陶しいよね

そしてこんな天気だからなのかな
ささやくようにことば紡いでくれた詩人さんを思い出す
長髪で舟大工だと名乗って

そうそうおひげも生やしていたような

今頃なにしてんだろうね
背中合わせの君とうまくやってんのかな

彼の垣間見せてくれた白い壁とオレンジ色の瓦屋根と真っ青な海
永遠の憧れだってことは判っているんだけど
それでもシロッコに吹かれながら
「Te amo mucho」おとこのひとに抱かれてみたい

目と耳と鼻と口
ほんとにみんな繋がっていたんだ

さっきまでのぼけぼけ加減吹き飛んでしまい
耳鼻科の診察椅子の上で悶絶したのかしないのか

女医さんの冷たいあしらいにおんなの敵はおんなだったことを知る





自由詩 すがるひと Copyright 恋月 ぴの 2009-10-06 16:39:41縦
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