10月にうまれる子供
モリマサ公

あなたの
果てのない恐怖と感謝がいりまじって
心臓がいきむ


マーブルな固形炭水化物をかじっている
泥の中や渋谷の109前で
白目をむいている健常者たち
瞳孔の開いたパリサイ人やマンションの隣人

ガブリエルのラッパが聞こえ
臨月の妊婦は腹をゆさぶり歩きはじめ
通り魔がタイミングをのがし
目覚ましが見当外れに誰もいない部屋で鳴る

精神に色をぬりながら
草木が車窓から流れ込んでくる
ワンリッターテンリッターの水で
未来を噛み締めて
くちびるをしめらす


ぼくたちはまばらなちいさな大陸の上を
あどけなさでこころっていう種を撒きながら渡りつづける
えんえんと作業する肉体になる


わずかな土の上に
俺たちの体液がこぼれる夜明け
かすかな緑の上に
あたしたちの体液があふれる夕暮れ


ブルーシートの海を切り裂き
壮絶な含み笑いでスーパーの屋上の駐車場のひんやりした空をめくる

爆音のスローで再生

女の子は女の子の性器を舌と指でいじり
男の子は男の子の性器を口に含む
「まじで?」


10月にどちらでもない子供が生まれて


嘘つき
の鳥が鳴く


嘘つきの
鳥が
いなくなる








 





自由詩 10月にうまれる子供 Copyright モリマサ公 2009-10-05 08:41:04
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