秋の午前が青かった
吉岡ペペロ



秋のひかりが青く透けている

夜の名残か虫の音がしている

どこか遠くで冷やされた風が

くすぐるように頬をかすめた


日曜の朝は自室に引きこもる

朝刊は長ぐそで読んでしまったから

買っていた何冊かの自己啓発本を

なんとなくペンを片手にくっている

こころに食いついて来なかった

いつのまに水槽のほうを見つめていた

ちいさなお魚さんたちの

絶え間ないデジタルな動き

それを目で追うのは無理だった

そんなことに癒された

水槽に押し込められてはいるけれど

ちいさなお魚さんたちが

私を押し込めているのかも知れない

宇宙サイズで考えたら

ちいさなお魚さんたちも

ガラス一枚をはさんで私も

おなじもののように思えるのだった


秋のひかりが青く透けている

夜の名残か虫の音がしている

どこか遠くで冷やされた風が

くすぐるように頬をかすめた


携帯写真+詩 秋の午前が青かった Copyright 吉岡ペペロ 2009-10-04 16:32:01
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