信号のある道
砂木

緑色を青というのは信号だけだと
白線の前でブレーキをかけ思う
嘘でも慣れてしまえば
覚えてしまって逆らう必要もなく

立ち止まらなければいい
音楽を聴いて風景をながめて
ハンドルと時間だけを
大事にすればいい

あの青と呼ばれるものは緑色ではないのですか
隣りの樹木の葉と同じ色です
青と呼ぶのは間違いではないのですか
見るたびに疑問が心を満たす

が ふと苦笑する
だから警告になるのか

規則の中に言葉だけ生身だ
人は間違う
そしてこの考えもおそらく間違い
点滅して また整理される

交通安全週間の黄色い旗が
私の通らない道路にも連なり揺れる
行くつもりのない道も
同じ権力に包囲されている
横切りそこねた小さいものの死骸が
カラスや虫達の餌食になり消える
目の前に飛び出した方が悪い
急にハンドルはきれないからと
安全は安全のために安全になる

あの青空を緑と呼んだなら
少し頭の柔らかい人と笑われるだろう
青空ではなく水色と言い張っても
夕陽を朝陽をどのように色づけても
心のままに

緑は青と呼ばなくてはならない
群れを守り 合言葉を守り 安全を守り

白線を通り過ぎ ブレーキをはずし
緑を青と認識したら進まなければいけない
風の通り過ぎる 樹木の葉を置き去りに








自由詩 信号のある道 Copyright 砂木 2009-10-04 15:06:09
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