信号のある道
砂木
緑色を青というのは信号だけだと
白線の前でブレーキをかけ思う
嘘でも慣れてしまえば
覚えてしまって逆らう必要もなく
立ち止まらなければいい
音楽を聴いて風景をながめて
ハンドルと時間だけを
大事にすればいい
あの青と呼ばれるものは緑色ではないのですか
隣りの樹木の葉と同じ色です
青と呼ぶのは間違いではないのですか
見るたびに疑問が心を満たす
が ふと苦笑する
だから警告になるのか
規則の中に言葉だけ生身だ
人は間違う
そしてこの考えもおそらく間違い
点滅して また整理される
交通安全週間の黄色い旗が
私の通らない道路にも連なり揺れる
行くつもりのない道も
同じ権力に包囲されている
横切りそこねた小さいものの死骸が
カラスや虫達の餌食になり消える
目の前に飛び出した方が悪い
急にハンドルはきれないからと
安全は安全のために安全になる
あの青空を緑と呼んだなら
少し頭の柔らかい人と笑われるだろう
青空ではなく水色と言い張っても
夕陽を朝陽をどのように色づけても
心のままに
緑は青と呼ばなくてはならない
群れを守り 合言葉を守り 安全を守り
白線を通り過ぎ ブレーキをはずし
緑を青と認識したら進まなければいけない
風の通り過ぎる 樹木の葉を置き去りに