【@】
月乃助



それは、思うよりも
地理的分布や生息環境に左右されるのです
砂漠を好んだり 湿気や樹上を好んだりと、
生きていく条件は限られているのですから、
あたしという種は、そうせずには生きていけない
のかもしれません

小さなしみを一つもつけないように
体の殻皮は、よごれをおとしてしまいます
模様さえも01030と遺伝子にのこされたまま―●―●―●
火炎の彩りは、花のように私を街から保護・色してくれ、
ウィンドーの プリントされたスカートの
その花柄の可憐さに 心をうばわれたまま
そこに立ち尽くすこともできるのです

― どちらかにきめないといけないのですね、

それは、ひとりだけでも十分に生殖ができようとも
雌雄同体は、けして相手をひつようとしない  ―♂♀―・
ということではないのです、
自家受精ほどの悲しさは知り尽くしているのですから
生まれながらに選択を許されぬ性は、名前のように
一生の間、もとめもせずについてまわるのに
選べるものなら、何不自由なく選んでしまえば良いのです
そうきめて 登録済みにしてしまう
苦労するものなど、ほんの一握りのものたちと
嘲笑いながら

殻のなかに身をちぢこませようと、
くちをあけたそこからは、
あまたな人の手がさしこまれては、
肌に触れるのですから、
どんなに身をよじろうとも
その手の動きはとまることはないのです

右を、左を、そして“ Noooooooooo ”また右をみて、
黒を白と、月と陽と、鶏冠は、角は、ゲイだレズだ、雌雄の区別の、
不思議と範疇に分かれることに主/種は、安寧をもとめるのですね
それは、けして導かれるものではナイハズナノニ

差し出されたものを
生まれたままで呑みこみ 自然と思う、
そうできるのは、問題意識の心が欠けているから
触覚をのばすように さぐれば、

遺伝子にとらわれない詩人となるのは、
むずかしいことも ないということでしょうか
やってくる
街の遠くに聞こえる
雨音に耳をすませるように
葉の上でゆっくりと 踝を接する
殻を背負わされた
有肺類と共に、 【@】









自由詩 【@】 Copyright 月乃助 2009-10-04 01:29:34
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