摩 訶
北星三天
ラテンの猫
粘土の焼けた瞳
河の流れを胸に秘め
光沢の粒を晒す
記憶の階段を
駆け下る
コツン
静まり返った月色のススキ野
突然と偶然は手を繋ぎ
ラテンの猫
筆の流れ色は尾を引く
最初に見つけたの(だあれ)
羅紗を巻き逃げ出した
褪せた誇り
黴臭い理屈屋は鋏を研ぐ
我こそは至高と嘘を吹く
音色の無い音を吹く
塊の輪郭を整えながら
賢者の名札を奪い合う
古い機械仕掛け
仮想の夢は進化を夢見る
そう臨界点はまだ越えること無く
転がる慟哭を再生する
誰の為に呼吸を数える
誰の為に無意識の薬指を青く光らす
アークする衝動
刻まれる意図は揺れ動いて透明を濁し
約束の無い終わることの無いアンダンテ
ラテンの猫は半見の夢に鳴く