涙と種
小原あき

花のように
命の終わりごろ
涙の代わりに
種を流すことができれば


ヒトにもそれが
できるのならば


こんなに悲しむことは
ないのでしょうか


いっそ子の顔を知らなければ
いっそ親の顔を知らなければ
こんなに悲しい思いは
ないのでしょうか


だけど、ヒトは
そんな風に
ひとつで立って
生きられません


だから、


種の代わりに
ヒトは涙を流すのですね






自由詩 涙と種 Copyright 小原あき 2009-10-03 17:29:40
notebook Home