秋に果つ
橘祐介

赤い紅、鈴虫の声

夏の光を殺して空に唄う

君の細い肩、狂おしく

すべてが溶けて時は止まった


どうしてまた帰ってきた、何もないこの場所に

鈴虫の声

今年もまた聞こえるのは鈴虫の声

それしか、今はないこの場所に


秋は嫌いだと言った君

空は高く、草はうなだれる

無言で繋ぐ手を離したあの日


また、この場所に帰ってきた

薄がゆれる秋の草原

赤い紅は、残ってないのに



自由詩 秋に果つ Copyright 橘祐介 2009-10-03 02:04:37
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