植物だった頃に
nm6

喉の奥を製本したような風邪をひいて
いっそのこと美しく装幀されて図書館でカビ臭くなりたいと夢見て
布団に入るといつのまにか17時間半経っていた晴れた午後4時に
炊いたお香でひとつ咳をして

また眠って



吹き飛んだ花びらが延長コードに
さふっ と
同化し
絡まる蔦の 出しっぱなしの簾の間から

揺れ動いた蛍光灯の紐に降る花粉は
とふぉっ と
受精し
シャドウボクシングで飛び跳ねた天井から



3時間後に目覚めてテレビを見ていたら
何故 人間に水中での適応能力があるのか
まだその謎は解明されていないといっていた

香る白檀に
おばあちゃんにそういえば聞いた話の
フラスコ傾けた表面張力ギリギリの記憶の
それくらい朧げな 壁のシミが薄らかなしい


自由詩 植物だった頃に Copyright nm6 2003-09-30 23:34:51
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