無花果
橘祐介

絹のすれる音が、ひとひら

二枚、三枚と

声にならない音をたてて

深い闇に落ちていく


夕と夜の間に

音もなくまぎれこみ

ひとひら、ひとひら

落ちていく


闇が全てを覆った時

その、絹のような音に

溶けるように捕られた


もう、逃げれない

剥き出しの甘い芳香に

体と心は縛られる



自由詩 無花果 Copyright 橘祐介 2009-10-01 21:16:40
notebook Home 戻る