道連れ
こしごえ

わたくしを。連れ去って下さい
宙をさす断崖の花
月虹の門はひらかれている

太陽風の遺伝子がほとほとと
あるく雲の上へ
声のみする、するする
夏の産声よ!秋に実るか
わたくしを。不問にふすなんて

そうとはしらず
額縁に素手をそえて
みつめかえす黒い瞳は底も無く微笑している

視線の先には窓の外の
青空と初夏の雲
いずれふる
わたくしを。映している

いにしえの果物のかおる部屋に
焦点がちいさくとおくふるえている
いまにも星星を零そうと
あちらこちらへ
すすりなく
直線のをんなは音符を吸い
すんだ声とともに
闇を聞く

季節は逆もどりし
種子を蒔いたの。たとえば、
そこの銀杏がそう
わたくしはねむる
あなたといま






自由詩 道連れ Copyright こしごえ 2009-10-01 08:25:41
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