公開暗号キーを
あなたはもっていますか

どこにあるのか
隠されているわけでもないのに
実は送り手である私も知らないのです

第一
扉の鍵穴と鍵も
一対一対応ではないので
わりとどんな鍵であっても
どの部屋のどの扉も開いてしまいがち

ほらね
春の部屋でしたか
うぐいすが鳴いていましたか

ほらね
青ひげの城の地下室で
おとぎ話はもう無事終わった後でしたか

部屋それぞれに
訪う読み手のひとの数だけ
読み解くための鍵があるのでしょう
同じ部屋であったとしても

どの鍵を使うか
いつも同じもので済ませる人もいれば
扉にあわせて丁寧に
片っ端から
じゃらじゃらと順に合わせてみる人もいて

でもほんとうは
鍵がなくても開きます
扉たち幾らでも
幾つでも

ですけれども
見せたい景色があるので
手にとってみて欲しいものがあるので
鍵をかけてから
その鍵を置いてみるのです

そちらとこちらの間に
誰からもよく見えるところに