無音の朝
ウデラコウ
雨音と国道を走る車の音に混じって
あなたが あたしを呼んだような声がして
静かに目を開けたけど そこにあなたの姿はなくて
夢にしてはやけに はっきりした声だったとまた
寝返りを打つの
さっきまでそこにいたのに 今は
冷たくなった枕だけ 静かに 場が悪そうに
人が一人消えただけで なんて静かな世界なのでしょう
何もなくて この部屋から音はしなくて
外から入ってくる無骨な生活音だけ 頭に響いて
永遠にも似た 長い時間をまた 越えることに
少しだけ 怖くなったりする
信じるなんて言葉 昔は簡単に口に出来たけど
近頃はさっぱりご無沙汰で
そんな短い言葉で片付けられるほど この想いは簡単じゃなくて
言葉にならない言葉を全て 伝えられたら
あなたはずっとずっと 笑ってくれるのかしら
またねって言って 小さく指先に触れた あなたの手が
まだあたしの体中に残ってる気がして
どうしたら その手を 離さないでいられるようになるのかしらって
やっぱり考えてしまうのよ
運命だなんて 言わないわ
運命を蹴り破って きてくれたのは あなただから
ただ願うのはまた
少しでも早く
あなたがまた あの重いドアを勢いよく開けて
勝ち誇ったような笑顔を 見ることだけ
明けかけた空を眺め 細い雨音を聞きながら
ただ
あなただけを 祈るの